唐招提寺

こんな本を見つけたんで、喜んで買っちゃいました。

唐招提寺 (別冊宝島 1685 ノンフィクション)

唐招提寺 (別冊宝島 1685 ノンフィクション)

10年の月日をかけて平成の大修理を終えた、唐招提寺の謎に迫るというオールカラーの本である。金堂の全面解体修理により、見えてきた事。例えば、天平時代に建てられたという金堂だが、果たして年代はいつなのか?
唐招提寺といえば、天平の甍。甍といえば、鴟尾だが、その鴟尾の後ろ側に穴が空いている。寄棟造りの金堂には、不必要なこの穴は何故空いているのか?そしてその鴟尾が今回新調されたのだが、なんとその鴟尾づくり、失敗率90%という難しさなんだそうだ。その難しさを鬼師と呼ばれる瓦職人の方の言葉が端的に言い表している「宇宙へ行く時代に、なぜ千二百年前と同じものを作るのに苦労しているのだろうか?」(別冊宝島唐招提寺」より)
屋根のシルエットは創建当初と異なるのではないか?豪華絢爛なはみ出るように文様が描かれた天井画、柱と長押に挟まれ風化をまぬがれた一筋の創建当初の赤。そして千年たっても朽ちていない巨大な古釘。それらの謎、金堂を修復する宮大工さんのさまざまな御苦労が、たんねんに描かれている。

金堂。

その中でも仏像好きの私がとっても注目したのは、金堂に安置されている三尊。中でも、千手観音立像である。修復のために解体されたのだが、その展開写真がスゴイのだ。なにがすごいって、953本の手を外すのに3カ月、並べるだけで1カ月かかっている。千の眼であまねく見守り、千の手ですべての衆生を救うといわれる千手観音。慈悲の心を感じる、大好きな仏さまである。

鑑真和上御廟前の苔。

唐招提寺といえば忘れちゃならないのが、鑑真和上である。映画「天平の甍」でもありましたねー。唐より日本へ来るのに5度の失敗、6度目に成功したものの失明。日本へ来た後も、鑑真を快く思わない旧勢力との確執や、天皇や皇室の後ろ盾があったものの、私立の寺であった唐律招提(唐招提寺の前身)への天皇からの寄進に対する非難の声など、誹謗中傷が絶えなかったのである。その中で鑑真は、後進の育成につとめたんである。


おほてらの まろきはしらの つきかげを つちにふみつつ ものをこそおもへ
会津八一

9月22日、観月讃仏会が唐招提寺で行われます。

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