大河ドラマの影響力

5月11日のインターネットのニュースサイトを見ていると、岡田以蔵の命日祭が初めて行われた、というニュースがあった。以蔵は、脱藩の罪で(表向き)捕えられ、斬首の刑に処せられた。真宗の寺の墓に葬られたが、後に岡田一族の墓がある今のお寺に移された。
地元の歴史を知ってほしいという有志の方々が、所在が分からなくなっていたお墓を探し当て、子孫の方の了解をとって、墓地その他を整備したそうである。

今の大河ドラマの影響もあって、訪れる観光客も増えたらしい。確かに、このドラマの以蔵って、ちょっと母性本能をくすぐられるタイプだもんね(笑)キャスティング見たときは、「人斬りじゃなくて、人に斬られるほうだろー」って思ったことは、今はナシってことで。
岡田以蔵自身に関しては、もう語りつくされているので、割愛。ただ、生れてきた所が、身分制度がちょっと異常な位厳しい土佐藩であったのが、彼の最大の不幸なのかもしれない。ひるがえって考えてみると、あれぐらい厳しくしないと、土佐山内家として成立しなかったのであろうけど。


でも、大河ドラマの影響力って恐ろしい時がある。今回の以蔵の評価もそうだが。さかのぼってみると、「太平記」の足利尊氏役の真田広之氏は「やっと正当な評価をいただけた」と感謝されておられたし、「翔ぶが如く」の時も、大久保利通に対する考え方が変わったのが一番大きいという話を聞いたことがある。
でもその手のお話では、なんと言っても「独眼竜政宗」の最上義光が一番インパクトあった。「あんなに悪者にしなくても」って抗議が多数あったんだよね、確か。私も、最上といえば「原田芳雄氏演じる義光」だったからね。ネットで色々と皆様のお話を聞いて、今じゃ印象がかなり違ってきているけど。

恐らく、今回の大河ドラマでもいろんな評価がされ、受け継がれていくのであろう。
でも、ちょっと待ってくれ。山内容堂は武市や龍馬と比べてもあんなに年上じゃない。吉田東洋は「わしは天才だから何をしてもいい」なんて能天気なことをいう人かい?武市は「しょせん土佐勤王党は、武市先生のものだから」と評価されるような、人望のない男かい?先のような影響力を考えれば、もう少し丁寧に描いて欲しかった、というのが正直な感想。

そして今回はというと、長州藩が暴走してただひとり攘夷を実行し、藩がつぶれてしまうかもしれんとこまで行くんだが、久坂ひとりでやってたぞ。久坂自身も今頃草葉の陰で、苦笑しているんじゃなかろうか。


ただ龍馬伝のお陰で、以蔵の命日祭が今回行われたとしたならば、過酷としかいいようのない運命を背負わされた彼と彼の家族の魂にとって、これほど救われることはないのかもしれない。

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