『あれも国宝、これも等伯』

先日、ボケーっとローカルニュースを見ていた所、先日見たばかりの長谷川等伯の「山水図襖」が、画面にドドーンと(デジタルテレビに変えたとこなんで 笑)映しだされていた。

↑先日130分まちで見た、等伯展in京都国立博物館。七尾時代の作品から、ポスターにもなった「松林図屏風」まで展示してあった。
お目当ては色々あるだろうけど、七尾で「信春」と名乗り、仏画を描いていた頃の作品が興味深かった。いや、なかなかあちらの方まで、見に行けないからね。これらの作品は、慈悲のまなざしにあふれる観音様ばかりで、ちょっとほっとする。絵は、とにかく細かい!さすが!等伯と名乗ってからは、サイズが大きい作品が多いが(仏涅槃図の巨大さといったら・・・)これらの作品はそれぞれそんなに大きくはないのが、私としては良かった。
そうそう巨大といえば、もうひとつ。京都限定の「弁慶昌俊相騎図絵馬」(北野天満宮)横4mの絵馬だが、とにかく迫力がある。遠くから、近くから、色んな角度で見させていただいた。
「桃山 スーパー絵師伝説、はじまる。」の言葉通り(チラシにそう書いてあった)七尾で活躍していた時から、30代で京都にやってきて、秀吉に気に入られあの時代の最先端の絵師になっていく、彼の人生の通りに展示してあった。ゆかりの地(たとえば智積院とか)で見るのもいいけど、こうやって一堂に会するのもいいねーと思った次第。

で、NHK大阪放送局の夜のニュースに話を戻して。

その内容はというと、京都のNPO法人と、デジタルカメラ会社と、西陣の技術者の方とがコラボして、新たな文化財の保護をやってみよう!というお話であった。その方法はというと、高画質のデジカメで文化財を写し、それをベースにして金箔を貼ったり、色を塗ったりして、よりリアルな複製品を作っちゃおう、ということだ。
なんでそんなことをするかと言えば、金箔を貼った絵というのは、保存がたいそう難しいんだそうだ。で、個々の所有者(例えばお寺)で保存するのは限界があるから、通常展示は高精度の複製品で、ホンモノは特別展示に、みたいな事にしたほうがよいんじゃないか(かなりうろおぼえだけど)と、そのNPOの代表の方がおっしゃっておられた。

また〜、復元とかなんとかというお話かい?!と思われたかな?私としては、技術の進歩のお話にしたいんだけど。
テレビでは、デジカメで件の「山水図襖」を写している場面を映していたのだが、あの襖、見たことある方は多いと思いますが、桐花紋が一面に浮かび上がった襖に、松林が墨で描かれている。雲母摺りの桐花紋も邪魔にならなければ、墨で書きあげた松林も存在感があり、留守を狙われた住職はそりゃー怒っただろうが、最後には認めざるを得なかったであろうと思われる作品である。おそらくその会社の一番の超高画質であろうデジカメは、その繊細かつ大胆な筆遣いを、写し取ろうと必死であった。しかし、技術の進歩ってすごいねー。等伯の筆使いを、頑張ってそのデジカメは写しておりました。たいそうご苦労はされておられたが。

確かにレプリカでは、なかなか自分に絵を描かせてくれない住職に、自分の絵を認めさせようと、留守に上がりこんで周りの人をハラハラさせながら一気に描きあげた、という伝承は伝わりにくいかもしれない。が、後世に等伯の絵の素晴らしさを伝えるためには、こういう方法も(劣化を防ぐため)必要な手段の一つかもしれない、と思った次第。もちろんホンモノを見る機会も、折りにふれ必要になってはくるけれど。


等伯、山水図襖」で検索したら、その高精度の複製画を作成された方のHPに行きつきます。他にも色々とされておられます。興味があれば、見てください。

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