復元と史跡と開発と。

とても、お世話になっている方がいる。まだ、お顔も拝見したことがないし、直接お話しをしたこともない。とあるご縁がきっかけで、ブログのコメントやらメールやらで「お話」をさせていただくようになった。歴史への造詣が深く、お話をうかがっているだけで、色々な発見やら楽しみやらがあり、しかもそれらに愛情を持って接していらっしゃる。そんな方が、よくもまあこんなペラい人間と「ネット」という世界ではあるが、お付き合いしていただいてくださっているものだと、感謝している。

その方のブログで、「越後の春日山」の開発が進んでいる!との記事が載った。上杉謙信公のおひざ元である春日山に(現在は城址)本丸を始めとしたいわゆる春日山城を復元し、観光の目玉にしようという計画があるのだ。謙信公時代は、塩土塁だったので、山に木は生えていない、やるなら徹底的にしたいとの意向からすでに木の伐採も進んでいるとか。木が生えていない根拠の一つに、大正時代に撮った写真があり、それを見ると丸ぼんさんなのだ、と。

上杉謙信公を尊敬されておられるその方のお嘆きは相当なもので、それをまた読んだ方のお嘆き&怒りもすごかった。私もびっくりして、コメント寄せた一人ではあるが。

観光の目玉として、上越市春日山に目をつけるのはあり得るお話ではある。今や、空前ともいえる歴史ブーム。中でも、戦国武将に対する関心たるやすごいもんがある。私もエエ年をしているので、今まで歴史ブームというのを何回か体感している。が、今の戦国武将への関心の高さはちょっと過去とは違うような気がする。上手くは言えないけれど。

昨年、2年前の大河ドラマの影響もあろう、おそらく観光客が押し寄せたはずだ。当然旅行会社もツアーを組む、春日山城を入れなきゃ、イマドキの客は納得しない。そしてツアー後の感想には、こう書かれていたんだろう。
春日山城っていうけど、何もないじゃないか」「ドラマでは、謙信が琵琶弾いてたじゃない。そこは、どこ?なかったよ」「だって、大河ドラマだよ。間違えるわけないだろう」
そんなこと旅行会社から言われたから、観光課はアセったに違いない。もうすぐ新幹線が通るのに、これじゃあ今度のツアーには入れにくいですね。
そんなこんなで、このようなお話になっちゃったんだろう。申し訳ないが、多かれ少なかれ、この手のお話はどこでも発生していると思う。林業も不況、農業もパッとしない、公共事業は減らされた、観光で食べていきたい、それには箱ものがいる。国の史跡にある、公共事業になる。

春日山の件で凹みながらも、その方は、とある上越市議さんのブログを紹介してくださり、それを読ませていただいた。地元の方はどう思っているのか、地元には地元の思惑もあろう、それには他県の人間は口出しできない。

その市議さんは復元推進派で、やるからには徹底的にしたいんだそうだ。だが残念ながら、そこには地元の方の意見が見えてこなかった。
まず木を伐採しているそうだ。伐採する規模にもよるが、保水性が保たれなくなる可能性はないとはいえない。災害につながる危険性もある。それはみなさん、納得済みか?
城址に城を復元する。なんといっても、上杉謙信が造った城だ。防御の事を考えると、それ相当の場所にあるはず。2×4で造るわけじゃなかろうし、何年かかるというのだ?当然工事期間中は、立ち入り禁止になろう。今見ることができないのであれば、今見ることができるところに行く、悪いが人の気持ちってそんなもんだ。そして、ブームはやがて終りを告げる。ブームに乗っかったものほど、飽きられるのは早い。それがたとえ高名な戦国大名ゆかりの地であったとしても、だ。そうなったとき、どうする気だ?
城の復元の元は何なのだろう。どうみても、そんな図面があるとは考えにくい。平時ではないんだ、そんなもん残さないだろう。何を元に、そしてどの規模まで。徹底的に復元したい、響きはかっこいいが、お金はかかる、年間いくらかかって、総額いくら。それらはすべて税金だ。この不況の下、税収はどこも減っているのに財源はどうするの?国の史跡だから、補助金もらう?残念ながら現政権は、文化事業に関心が低そうだから、それは期待できないと個人的には考えている。


この件をきっかけに、史跡に何かを復元したい!と考える人の気持ちが知りたいということもあるので、近々その市議さんにメールなんぞ送ってみようかと考えている。お返事いただけるかな?ちなみに私は、復元反対派。だから、そんな方の考えが知りたいのだ。私の考えも知って欲しいけど。

史跡に人が集まる理由。それは、悠久の時を超え、風雪に耐え、我々の前に存在すること。その奇蹟に人は感動し、何かを攫むんではなかろうか。
「何もないから」何かを造るのではなく、「何もないけど、何かあるでしょ」じゃだめなのかい?


頭の中、まとめてみたつもりだが、やはりまとまらず。まっそんなに読む人もいないし、日記だし(笑)

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