今のドラマと、昔のドラマ。

演出家の和田勉さんが、お亡くなりになられた。

北大路欣也さんが主演された「竜馬がゆく」は、残念ながら1歳の時であったため、覚えていないが(当たり前だ)、向田邦子さんの脚本であった「阿修羅のごとく」とか、夏目雅子さんも出ておられた「ザ・商社」なんかはひじょーに覚えている。

阿修羅のごとく」は、男女間の葛藤なんかが描かれていて、正直お子ちゃまには「なんのこっちゃいな」であったが、実際の商社の吸収合併を題材にした「ザ・商社」は、もう少し大きくなってから見たこともあり、とてもインパクトがあるドラマであったと記憶している。


金持ちのパトロンを見つけて、大きく世界に羽ばたこうとするピアニスト役の夏目雅子さんの、ちょっといやらしいまでの上昇志向とか、骨董品と芸術にしか興味のないトップの無気力ぶりとか、それにつけいる外国資本と銀行、対するのは「絶対、江坂産業はつぶれない」と考えている上層部、それらを強烈なセリフと、ハードなシーンで、これでもか!って描いていた。下手な人情話もなく。だけど、細かい所も描かれていたしね。のし上がるピアニストが、だんだんゴージャスになってきたり、最後、別の商社に吸収合併される時に、とても大切に収集した骨董品の茶碗を手放して、ボー然とするところとか。


ぎらぎらしてたんだな。あの時は。あの時は、よかったな。


なーんで、こんな事を思うのかというと、先日今回の大河ドラマをまともに見た。そしてなぜかその時、「昔の演出家だったら、どう?」と思ったからだ。


髑髏の杯の件は、していた。が、信長に処刑されたという長政の息子の万福丸は、セリフの中にも出てこなかった。この先のお話に、都合が悪かったのであろう、きっと。都合が悪ければ、出さない。最近の大河ドラマでよくあるパターンだ。それがいいとは、とてもじゃないが思えないけど。
そして、2話目ですでに、本役が出ている。今回のお話の中では、たしか主人公の江は5、6歳のはずである。なのに、幼少役も少女役もなく、いきなり本役。正直画面上に、ムリが生じており(いや、役者さんは頑張っておられますよ)、感情移入がなかなかできなくて、困った。


日曜夜8時に、物騒なシーンを入れるわけには、いかんでしょうが、といったところかな?それにしても、その人の一生を放映するんだったら、少女期をする役者さんを間に入れてもいいんじゃないのか?おそらく少女期がもう少し、続くであろう。少女期は、この先のお話にとても重要だったりなんかする。別に本役さんにさせなくても、お話が続いてさえおれば、スムーズに見れるもんなんだと思うのだけどな。「独眼竜政宗」の時がそうであった。あのドラマでは、子役、少年期役、そして本役と3人の政宗公がいたが、その政宗公の一代記を一年にわたって見る、という大河ドラマのだいご味というのを味わわせていただいたような気がしている。


あー、昔はよかった、という内容になってしまった。うーむ、いかん。

最後に、和田勉さんのご冥福をお祈りします。すばらしいドラマを、見させていただいて、ありがとうございました。